●曲目解説 組曲「動物の謝肉祭」より 組曲「動物の謝肉祭」は、シャルル=カミーユ・サン=サーンス(1835〜1921)の作品のなかでも最も有名なものと言えましょう。この作品は,1881年に友人が主催する謝肉祭の音楽会のために作曲されたもので,非公開のコンサートで初演されました。プライベートな場での発表を想定していたため,自作・他作ともに多くの楽曲をパロディにしており,サン=サーンスの遺言により,チェロ独奏曲として出版された「白鳥」以外は,作曲者の生前に公表されることはありませんでした。しかし,作品の発表後は,曲の持つ親しみやすい性格から広く親しまれており,子供向けのクラシック入門作品としても人気の高い曲になっています。 この木管8重奏の編曲は,青梅市立第三中学校吹奏楽部の委嘱により編曲したもので,2007年12月26日に行われた2007 TAMAアンサンブルフェスタにおいて,同校吹奏楽部・木管8重奏(Fl./Picc.上島幸奈、EbCl. 小林真衣,Cl.1 福岡舞子、Cl.2 、B.Cl.遠藤有記,A.Sax.小林知恵美,T.Sax.松原玲奈,B.Sax.菅野蒔記)によって初演されました。 原曲は全14曲から構成されていますが,今回は,そのなかから以下の7曲を編曲しました。 ■1. 序奏と堂々たるライオンの行進 トレモロを伴った短い序奏のあと,ファンファーレの続いてライオンの王様が入場してきます。主部は安定したテンポ感で堂々と演奏してください。 ■4. 亀 オッフェンバックの喜歌劇「天国と地獄」の有名なテーマのパロディで,“亀”という標題に合わせて遅いテンポで演奏されます。伴奏の3連符は,ブレスの位置を奏者によってずらす,いわゆる“カンニング・ブレス”で隙間が目立たないようにしてください。 ■7. 水族館 水槽の気泡のなかを魚たちが泳いでいる様子が表されています。ドビュッシーなどの印象主義的な平行和音も用いられています。Cl.2パートの細かい連符のブレスは,アゴーギクを工夫してブレスの間を作ったり,場合によってはCl.1とところどころ楽譜を入れ替えたりするなどして対応しても良いでしょう。 ■10. 大きな鳥籠 フルートをフィーチャーした楽章で,鳥籠のなかで小鳥たちがさえずっている様子が描写されています。サクソフォーンの伴奏(特に16分音符)が騒々しくなってしまわないよう気をつけてください。 ■12. 化石 サン=サーンス自身の作品「死の舞踏」やロッシーニの「セビリアの理髪師」,フランス民謡の「きらきら星」など有名な曲のフレーズが散りばめられており,聞き古された音楽は化石のようなものだという皮肉が込められています。原曲では木琴が目立ちますが,この編曲ではEbクラリネットをフィーチャーしています。調性もEbクラの機能を最大限活かせる調に設定しました。 ■13. 白鳥 上述の通り,チェロの独奏曲として大変有名な作品です。この編曲では,バス・クラリネットがソロを担当しています。バス・クラは,音色がどうしても他の楽器に埋もれてしまいやすいので,状況によってはピッチを若干高めに設定するなどの工夫をしてみても良いと思います。 ■14. 終曲 今まで出てきた動物たちが再登場してのグランド・フィナーレです。オッフェンバックの「天国と地獄」のフィナーレの旋律に乗せて,今まで登場した様々なテーマが再現されていきます。cから(ロバのテーマの)連符は,クラリネットの指回りに自信があるチームはぜひ挑戦してみてください。(黒川圭一) ▼スコアサンプル閲覧(曲名をクリックしてください)▼ 1.序奏と堂々たるライオンの行進 4.亀 7.水族館 10.大きな鳥籠 12.化石 13.白鳥 14.終曲 |