この楽譜は、J.S.バッハのオルガン曲をE.エルガーが管弦楽のために編曲したものを底本としたものです。原曲では4分の6拍子のFantasiaをエルガーは4分の3拍子としています。この部分、僕は原曲に基づいて4分の6拍子としましたが、テンポ感をキープするために4分の3拍子で感じる、あるいは指揮をすることも十分にあり得ることと思います。
また、アーティキュレーションも部分的にエルガーによる管弦楽版とは異なっています。マルセル・デュ・プレ校訂によるバッハオルガン全集、およびマリ・クレール・アランによるオルガン独奏によるCDを参考としました。
バッハの謹厳な音楽、そしてエルガーのロマンティックな編曲、バランスを取りながらバッハをバッハらしく演奏するのは易しいことではありません。
バロック音楽の場合、特にオルガンやチェンバロといった、一つ一つの音にダイナミクスの変化を付けるのが不可能な楽器では、音の微妙な長さで強弱やフレーズを表現します。スラーで演奏する箇所は原則として微妙に前の音と次の音を重ね、フレーズの切れ目やスラーを付けない箇所は、はっきり音と音の間に隙間をあけ、さらにスタカートの場合は厳格に元の音符の2分の1の音価で演奏します。そしてオルガンの場合、音は決して減衰しないので箱型の音になります。
これらのことに関連し、尊敬する師、間宮芳生氏がバッハの音楽のことを「ひとつひとつの音が上質の、そしてある意味で均質なモザイク」と表現していたのを思い出します。
バッハらしい、謹厳実直な、そして清潔な演奏を目指すのであれば、特に必要な箇所以外、原則として減衰もせず、また膨らませることもしない箱形の音符を緻密に計算した音価でモザイクのように組み合わせて吹くことが鍵となるでしょう。
しかし、エルガーの編曲した世界に入り込むのであれば、これとは違ったものにならざるを得ない部分が多くあり、そのような箇所は練習を重ねる間にきっと発見されて行くと思います。(飯島俊成)
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